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ウィーン、ウィーン
最近のUFOキャッチャーは掴むんじゃなくて滑らすんだよな…
ポロッ
「よし!!」
狙っていたネコのぬいぐるみは抵抗する事無く穴に落ちていった。
「すごい…、本当に一回で取れた…」
祐希は驚いた顔をしていた。
……たまたま上手くいっただけなんだけど…
「ほら、欲しかったネコさんだ」
「ありがとう…、このネコは一生大事にするからな♪」
「ハハハ…」
大げさだな…、ただのぬいぐるみだぞ…?
「次はどうしようか?」
「そうだ」
グ~…
……俺の腹じゃない、となると…
「…………」
祐希がうつむいてる…
間違いなく祐希の腹の音だな…
「悪い祐希、腹減ったから飯にしないか?」
「……うん」
こうすれば俺の腹が鳴ったように見えるだろう。
周りの人も祐希を見るのを止めてゲームに戻っていた。
「……君は優しいな」
「女の子に恥かかせるわけにはいかないしな」
「……ありがとう」
ゲーセンを出て飲食店に着くまで、祐希はずっとうつむいたままだった。
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