プロローグ

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プロローグ

時間は大切だ。 そのようなことを 誰かが言った気がした。 どうせ胡散臭い 偉人だとか ちょっと成功した 芸能人だとかが 心にもないことを 口にしたところで 他の誰かが それをあたかも 名言のように 仕立てあげたのだろう 文学少年でも 論説家でもない僕が なぜこんなことを 考えるかと 聞かれたところで 口にだすには 面倒臭いし、 紙に書いたら 原稿用紙は 黒く染まる。 テレパシーでも 使えたら それはそれは 楽なのだろうが 残念ながら そんな特異な能力はない またくだらないことを 考えてるうちに 時間はどんどんと 過ぎていく 足がバランスを崩す。 ことわっておくと 僕は天然キャラでも ウケを狙ったわけ でもない。 冷たい床に頭から 突っ伏せる まず激痛が走った。 とたんに誰かの悲鳴が 聞こえた気がした 視界が暗くなる… ジングルベルの鐘が 終わりを告げるように ゆっくりと鳴っている… そういや、 今日はクリスマス だったな…。 そんな独り言も、鐘の音も 全て掻き消すように もうひとつのベルが鳴り響く 薄れゆく意識の中で ベルの音が加速して、 ふいに全てが消えた。 金曜日の夜の ことだった。
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