233人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
『ほら、あそこ。』
佳那の視線とその指先をたどった。
そこには、春の日差しを全身に一人占めしたかのような
眩し過ぎる……あなたがいた。
それは、
カミナリが直撃したかのような……
または、
真冬の海に突き落とされたかのような……
もしくは、
ライオンの群れの中にほうり込まれたかのような……
とにかく、今までに体験した事のない衝撃を感じていた。
あの人が……雄介……先輩……?
私はしばらく、その雄介先輩という人から、目を逸らす事が出来なかった。
雄介先輩の存在は
何処か懐かしく
心地良ささえ感じるのに
この距離以上に
遠く感じた。
……当たり前だよね。
だって私、
あなたの事、
何も知らないんだもの。
最初のコメントを投稿しよう!