11人が本棚に入れています
本棚に追加
3月28日
24時36分
―陰・中心街―
「リーダー、なんだか今日はシャドウ達が大人しいッスねー?」
「あぁ…不自然だな。普段ならコソコソせずに飛び掛かってきやがるってのに……」
「何かあるね」
誰も居ない、月明かりが照らすシン…と静かな中心街を各々物騒な武器を片手に学生の男女三人組が歩いていた。
始めに声を出したのはピンで赤毛の前髪を止めた元気そうな両手にグローブをした男子で、リーダーと呼ばれた男子は染めてから日にちが経っているのか生え際から黒に戻りつつある金髪の目つきが悪い槍を持った男だ。
そして短く呟いたのは焦げ茶色の長い髪を上で一本に縛り上げた女子で、大きな薙刀を持っている。
三人とも学生でありながら、誰も居ない街中で武器を片手にうろついていた。
誰も人が居ない状況が当たり前かのように話す三人の背後で、不意に何かが動く。
「あ、シャドウッス!」
現れたドロドロとした黒い液体のような物体に青い仮面を付けた変な生物らしきものを指差し、元気な男がまたまた元気に声を出す。
それに反応して他の二人もそれを見た。
「本当だ、やっと出てきたねー」
「だが…何かに怯えているようだな」
リーダーの言葉の通り、せわしなく辺りを警戒するシャドウと呼ばれた生物に疑問を持った瞬間、突然奇声を発して逃げはじめた。
そして―――…
「グギャォオオーッツ!!」
轟くような咆哮と共に建物の影から現れた巨大な白い狼が、大きく裂けた口で、逃げた…否、逃げようとしたシャドウを丸呑みにしてしまった。
「……――ッ!!」
立ち上る砂煙が晴れると、狼の傍らに黒髪の青年が立っていた。
「……駄目、だね…。いこう…」
青年は三人に見向きもせず、赤い眼を細めながら狼に話し掛けると、燃え盛るその背に乗って何処かへ走り去ってしまった。
「……ペルソナ、使い…!」
最初のコメントを投稿しよう!