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教室へ入ると、一気に大勢の人達からの視線とぶつかった。
(凄い、見られてる……)
「コイツが今日からここのクラスメイトになる狗威 陽君だ。仲良くしてやれよ?」
森岡の言葉への反応は様々で、うんうんと元気良く頭を上下に振る女子達と舌打ちする男子達、そして何かリアクションするでもなくこちらを注目…いや、凝視する前髪を二つのピンで止めた男子と、こちらには目もくれずビンに入った緑色のフワフワを凝視する長い黒髪の女子が居た。
(後半の二人…地味に気になる……)
緑のフワフワを凝視する女子はいいとして、こちらを物凄い形相で凝視してくる男子は物凄く目を合わせたくないと内心呟く。
後が怖いというよりも意味不明過ぎて怖いのだ。
ここは一先ず
「はじめ、まして。狗威 陽です……よろしくお願いします」
挨拶するのが妥当だと判断しておいた。
「じゃあ、お前の席は……。あそこが空いてるな」
指さされた席は、こちらを凝視する男子が後ろで緑色を凝視する女子が右隣りの席だった。
(……………。)
陽は前途多難な予感に深く溜息を吐いたのだった。
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