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4月6日
0時00分
―陽・央柳寮入口―
周囲は夜中だというのに昼間のように明るかった。
「白夜……?」
「お、ピッタシッスね!」
思わず呟くと、高橋が声をかけてきた。
見れば見知らぬ男女も一人ずつ居る。
「私は飯嶋 捺夏。気軽に捺夏って呼んでいいわ!」
「なんでリーダーの俺より先にお前が自己紹介すんだよ!…俺は城崎 龍、よろしくな」
「は、はぁ……」
勝手にコントを繰り広げながら自己紹介してくる二人に困惑しながらも曖昧に返事をすると、不意に腕を掴まれた。
「……へ?」
「ここじゃなんだし、場所を変えましょ?」
「いや、あの……っ」
何が何だかわからずに引かれるまま歩いていると、ふとある事に気が付いた。
(人が居ない……?)
歩いている間に何かを突き抜ける様な感覚がしたと思った後、急に人の姿がなくなった。
流石に身の危険を感じ、少々乱暴に手を引きはがして距離を取る。
「いきなり、何なんだよ…」
「それはこっちの台詞だ」
怖い顔をした城崎が睨みつけてくる。
何が何だかわからずにとりあえず睨みかえすと、何か言おうとした城崎が口を開けた瞬間、目の前の三人全員が表情を驚きの表情に変わった。
『オイシソウナノガ、キタヨ』
直接頭に響く聞き慣れた声に、思わず口元が緩んだ。
「何してんスか!狗威、逃げるッス!!」
高橋の必死な叫び声を無視してゆっくりと振り返れば、そこには他のシャドウとは比べものにならない程の巨大なシャドウが居た。
どことなく蛇を思わせるそれが大口を開いて陽に襲い掛かる。
「危ない―――!!」
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