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ペ ル ソ ナ
呟きと共に現れる片割れ、炎に覆われた白く巨大な狼が大蛇を弾き飛ばす。
「やっぱり、あの時のペルソナ使い……!!」
後ろの方で何やら騒いでいたが、気にしてはいられない。
なぜなら目の前に御馳走があるのだから。
『キョウハ、ゴチソウダネ』
「そう、だね。これを食べたら、記憶は戻るかな?」
『ワカラナイ』
自分だけに聞こえる片割れ…フェンリルの声に返事をしながらその背中に乗った。
その数瞬後に陽が居た場所を大蛇の尾がえぐり、奇声を発する。
「ファイアー、ブレス!」
接近する間にこちらを狙って飛んでくる剣や刃をかわしながらフェンリルは激しい炎を吹き出す。
吹き付ける炎に大蛇が怯んだ隙に鋭い牙でその喉元に食らい付いた。
「キシャァアア――ッ!!」
「グァォォオウッ!!」
フェンリルの方がやや小さいが、激しく巨体をぶつけ合う二匹の戦いに三人は呆然とするしかなかった。
野生的な命のやり取り、食うか食われるかの戦いにはそれだけの迫力と覇気がある。
どれくらい戦っていたのだろうか、最終的にフェンリルが大蛇の喉元を引きちぎり勝敗が決まった。
「……ふう…」
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