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「…それで、話って何……?」
背後でえげつない音を立てながらシャドウをフェンリルが補食する中、平然とした様子で三人の前へ来た陽は問いかける。
「話って実は、ソレの事だったりするんッスけどね…?」
苦笑いをしながら頬を掻いて言い淀む高橋に痺れを切らした城崎が前へ出た。
「単刀直入に聞くぞ。…お前はペルソナ使いなのか?」
「…多分、そうなのかもしれない……。俺自身よく、わからないよ」
「はァ?」
「俺の、記憶がないんだ…先月から……」
次いで出てきた言葉に目を見開く三人。
陽はこれまでの経緯を話すと、食事を終えたらしいフェンリルを撫でる。
「……次だ。何故お前のペルソナはシャドウを喰らう?」
二つ目の質問に撫でる手を止め、じぃっと無表情に見つめてから一言、言った。
「お腹が空くから、食べる」
これには信じられないといった表情で高橋が詰め寄る。
「いやいやいや、普通にコンビニ弁当とかあるっしょ!?よりにもよってなんでシャドウなんスか!?」
「シャドウ…?」
「今さっきまで食べてた奴ッスよ!」
「あぁ……。だって、俺はそれしか食べられないから…」
あまりの衝撃発言の連発に、動揺を押し隠すこともできずウロウロしていた飯嶋が人差し指を勢いよく立てた。
「と、とりあえず寮で話をしましょ?色々いろいろイロイロと聞きたい事がいっっ…ぱいあるわ!」
「……う、ん…?」
何が何だかわからないまま、いつの間にか消えていたフェンリルをさして気にせず引きずられて行くと、深夜なのに少々明るい空が見えた。
(白夜なのに、日食してる……)
異常な景色なのに、何故か陽には懐かしさを感じた。
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