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連れて来られたのは寮……の地下で、薄暗い会議室のようになっていた。
ほぼ強制的に椅子へ座らされ、プチ面接スタイルになると戸惑いもあらわに辺りを見渡す。
「さーて、色々事情聴取といきましょうかしら?」
「だから何故お前が仕切るんだ。…狗威、まずはこれを食え」
やけに張り切る飯嶋に冷静なツッコミを入れた後に城崎が差し出したもの、それは……。
「カツ丼って…リーダー、ドラマの見すぎッス」
ホクホクのカツ丼だった。
よくわからずに眺めていると、有無を言わさぬ阿修羅のごとき表情にたじろいで思わず一口食べてしまう。
よく咀嚼して飲み込んだものの数秒で苦しげな表情を浮かべて洗面台へと陽は駆け出した。
「本当に食えないみたいだな…」
「さては龍、あなた鬼畜攻めね?」
「腐った発言は自重しやがれ」
そんなやり取りをしている間に吐き終えたのか優れない顔色のままよろよろと戻ってきた陽を高橋は小走りに駆け寄って背中をさする。
「本当に普通の食べ物が駄目なんだな…」
「そういえば狗威が昼食摂ってる所、見なかったッスねー。」
「ぐふふ……萌え…!」
口々に感想らしきものを述べる三人に謝罪の言葉は見当たらない。
城崎が少し申し訳なさそうな顔をしている所ぐらいしか謝罪というものを三人は表現していなかった。
(何なんだ…もう……)
知らず知らずの間に陽の眉間に皺が寄る。
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