竹の子おっさん

3/3
前へ
/6ページ
次へ
雨が降る日曜日だった。練習試合が組まれていたので雨が降ってても集合しなければならなかったのだ。 試合は案の定中止。顧問の先生は気をつけて帰るよう僕らに促した後、職員室へ消えていった。 つまんねぇの、と石を蹴飛ばすとその先にスクーターがあった。 雨なのに竹の子とりにきたのか… そうだ‼竹の子おっさんに会いに行こう‼ 僕ら三年生5人は藪へとすすんだ。 雨の日のやぶはいつもにまして暗かった。じっとりとした空気が鼻の下を濡らしていった。その時、 ザッ、ザッ、と音がする。 竹の子おっさんだ‼ 僕らは駆け寄った。 しかし見てはいけないものを見てしまった。地面からでた白い手。そのよこでシャベルを持った竹の子おっさん。 僕らは一歩退いた。すると竹の子おっさんは 「こんにちは。竹の子を分けてあげようね。アケビもたべるかい?」と近づいてくる。 うわぁぁぁぁぁあ‼‼ 僕たちは必死に走った。ひたすらに。あっという間に藪を抜け、グランドを疾走した。僕らの異変に気づいた顧問があわてて職員室から出てきた。顧問に保護され、落ち着いたとき、職員室から藪を見下ろすとスクーターはもうなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加