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帰宅するとそこは予想通りの惨状だった。ものがあちらこちらに散乱し殆どが原型をとどめていない。粉々にあるいわぐちゃぐちゃ、びりびり、べちょべちょ
「リュイ」
どたどたと足音がしてひょっこりと部屋から顔が出てきた。
「おいこれ━━」「お帰りなさい!!」
元気で大変宜しいじゃないか。褒めてやろう。
靴を脱ぎ捨てて僅かな安全地帯を爪先立ちで進む。彼女の部屋の前まで行くと彼女はもう一度僕に言った。
「お帰りなさい」
満面の笑みがそこにあった。うん。満点。
ただ不可解なのは彼女の腕に抱き抱えられているブツであり、理解にたっぷり5分と時間がかかったのは現状を理解したくないと無意識に働いた抵抗によるものであろう。まあ5分はちょっと大袈裟かもしれませんね ざっと10秒ぐらいだと思う。
「あぁ、この子?」
僕はこの子をじっと見つめていたらしい、彼女はえへへ、と照れ臭そうに俯いてかわいいでしょうと言った。
「うんそうだね、それよりさ今日もコンビニでいい?」
「うんいいよーコンビニ旨し」
「じゃオレ買ってくるから待ってて」
「りょーかーい」
敬礼のポーズをしながら言う。それから無理矢理翼を広げて同じポーズをこの子にもさせる。実に様になっていた。来た道を同じ様に爪先立ちで慎重に戻って、靴を履いて外に出た。
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