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いつ死んだっていい。
雷雨はいつもそう思っていた。だから今日も魔物がはびこるアヤカシの森で、無防備にも地面に寝転がっていた。
彼の身体には既に血の滲んだ箇所がある。しかしどれも命を脅かすまでには至らない。雷雨は最初の一撃だけを甘んじて受け、その後は倒してしまうからだった。
一撃で俺を殺せないなら、攻撃を受けるだけ無駄だ。
それが彼の哲学であった。
「…今日も無理そうだな」
魔物の死体に囲まれた金眼の青年は、腰までのびている茶髪の髪を掻き上げると面倒臭そうに自分の住みか――王家の城へと向かった。
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