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「はぁ~、凄いなぁ…」
愛佳は空港を出るなり感嘆のため息をついた。
既に地球では「植物」や「自然」といったものはなくなり、電子的なやり取りのみの世界、いわゆる「合理的」な世界になっていた。
「すみません、貴女が…国広愛佳さんですか?」
振り替えると恰幅のいい叔父さんが立っていた。
「あ…はい」
「私、ゴンドラ会社「ルナ・ヴェネチアン」の社長代理・レイジ・シュバルツと申します」
愛佳はこの春から「ルナ・ヴェネチアン」で働きながら修行することが決まっていた。
「あ、はい…」
驚いてばかりはいられない、第一印象は大切。
愛佳は元気よく挨拶をせねばと拳を握った。
「は、はじめまして、国広愛佳と申します!ふつつか者ですがよろしくお願いしまひゅ!」
がばっとお辞儀をする愛佳だが、その顔は真っ赤だった。
「(か、噛んじゃったああ…)」
まさかの社長代理の登場慌てていたのでろれつが回らなかったのである。
愛佳は恐る恐る顔を上げると、しかしレイジは穏やかな微笑みを浮かべていた。
「はっはっはっ、これは愉快なお嬢さんだ!
さぁ、会社の方に向かいましょうか」
レイジはそう言うと愛佳の荷物をひょいと持ち上げて歩き出した。
愛佳もそれに続いた。
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