6人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
夕食は家族でそろって食べたいと、つくづくオレは思っていた。
しかし、どうだろう。
ウチには、十二人の家族がいる。
しかし、今は一人、『長月』が独り立ちして県外で住んでいる。
だから、実質十一人が暮らしているわけだ。
しかし、今、我が家の食卓には八人しかいない。
オレに、如月、卯月、皐月、水無月、葉月、文月、師走しかいなかった。
さっき出てきた『葉月』というのはオレの妹だ。
文月や師走と同じ学校に通っていて小学三年生だ。
つまり文月の姉さんで師走の妹というわけだ。
「きさ姉~、弥生兄は~?」
食卓に並んだそうめんを箸でつかみながら、葉月が如月に尋ねた。
あぁ、今葉月が言った『弥生』というのは、この町の高級料亭で板前をやっているオレの弟だ。
しかし、今弥生はその仕事場から戻ってきていなかった。
「弥生は……今日、遅いって言ってたわね…」
「……如月、いつもいつも聞いてることなんだが……神無月と霜月は……」
「神ちゃんは、いつも通り部屋に居ますけど…。
霜月は………皐月」
如月はふと皐月を見た。
皐月はわかっていると言わんばかりに立ち上がり、部屋を出ていった。
「あっ……」
隣で我が弟の声が聞こえ、振り向くと、師走がめんつゆを服にこぼしていた。
「あーあー、師走、大丈夫か?待ってろ、今新しい服持ってきてやっから」
最初のコメントを投稿しよう!