其の弐“文月”“葉月”“師走”

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オレの弟である『西條文月』はまわりの小学生たちに比べて少しおかしい。 この年頃の小学生は昼間は学校に行って放課後は友達の家にお邪魔して毎日を過ごしているというイメージがある(オレの偏った昔ながらのイメージだ)。 しかし我が弟、文月に関してはちょっとそのイメージとは違った毎日を送っている。 毎日学校が終わるとすぐ帰宅して勉強をし、それをある程度、というか飽きたらやめ、ゲームをするという少し変わっていて、そこまで変わっていない生活をしている。 別に友達がいない、というわけではない。むしろ友達の数はオレとは比べ物にならないくらいに多い。 それなのに、オレは一度として文月が友達と一緒に遊んでいるのを見たことがない。 一度、そのことに触れたりしたが、『ボクはねぇ、将来ゲームクリエイターになりたいんだ。だからボクは色んな人が作ったゲームを見て勉強してるんだ』と鼻高々と宣言されてしまった。 まあオレは他人の人生をとやかく言うような趣味はない。 むしろ応援をしてやろう、というくらいの意気込みだ。 それを以前文月に言った。 というか、言ってしまった。 そのせいで、 「むつ兄!!あったあった!!これこれ!!」 文月にゲームを買ってやることになってしまった。(まぁ、以前ゲームを買ってやると約束してしまっていたから何とも言えないが)
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