大樹の故郷-フルール-

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…………… ここはフルールの村から南西に少し行った場所にある、森の中の小さな研究所らしき建物の前。アレク達は入口から少し離れた木の陰から入口を伺っている。 「…あいつらはここに入って行ったんだよね。」 「あぁ…ここが例のアジトか?ずいぶんと小さいが…」 大きさ的に言うと、ダッシュで走れば10秒かからずに外周を回れるぐらいだ。高さは見た感じ1階しかないだろう。 「っとなると敵は地下か…もしくは空間魔術の類か…厄介なことになったな…」 「空間魔術…?」 「あぁ…特殊な機械と、特殊な人間が使える魔術が必要な魔術だ。ある場所とある場所を強制的に繋ぎ、その機械を起動させれば自由に行き来が出来ると言うものだ。が、設置時に大量のマナを使用するために最近じゃあ『禁術』に指定されてる代物さ。最も、使える人間が限られるだけに普通は目にすることがまずないけどな。」 そう説明しながら、アレクはゆっくりと入口の扉を開けた。 「…当たり、かぁ…」 小さな研究所の中はやはり小さな部屋が一つあるだけだった。そしてその部屋の真ん中にあるもの… 「あれが…?」 「そう、空間魔術機、通称スペシリア…」 円形の少し盛り上がった床、その縁にまるで時計の12、3、6、9時の場所に4ヶ所、天井に向かって小さな針状の突起物が飛び出していた。 「さて、まずは…」 アレクは部屋をゴソゴソとあさりだした。 「…?何探してるの、アレク?」 「こういう感じのスペシリアには必ずスイッチの様なものが近くにあるはずなんだよっと!………見つけた…!」 リシアが気になって覗くと、そこには真っ黒で真ん丸な塊があった。 「よし!行くぞ!」 アレクは言う… これから大きな運命の変動が起こるとも知らずに…
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