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「ここは…」
3人は丘の上で気絶していた。例の机の裏のスペシリアは緊急用だったので、転移する際に多少の衝撃が彼らを襲ったのだ。最初に目覚めたのはリシアで、次に起きたのはカンナだった。カンナは頭痛がするのか頭を押さえながら話す。
「っ!…ここは…リレー広陵だな…フルール近辺の小さな丘だな…頂上近くのはずだからフルール村が見えるんじゃないのか?」
それを聞いてリシアはフラフラしながらも辺りを散策し始めた。
「あ…あれがそうかな?」
リシアは西を指差しカンナに言った。そして振り向きざまにこう言った。
「それにしてもアレク起きないですね…」
「だな…男のくせに情けない…」
2人は近くに倒れたままのアレクの横に立った。
「どうしましょうか、カンナさん?」
リシアが尋ねると、カンナは何処からか中華鍋とお玉を取り出した。
「頭に響くからちょっと嫌なんだが…喰らえ秘技!死者の目覚め!!」
ガァンガァンガァン!と中華鍋とお玉をぶつけて金属音を出した。
「うわぁ!!」
耳元でそんな音を聞かされたアレクは飛び起きた。
カンナの横ではリシアが耳を塞いだまま固まっている。
「カンナさん…それって…」
「ん?あぁこれか?ずっと昔に親友が教えてくれた技だよ。これを使えばあの馬鹿リグレスも一発で飛び起きるんだよ。流石に今のは頭に響いたけどな…」
教えた人もすごいな…とリシアが半ば呆れながらアレクにちょっとした同情を抱いた。
「アレク…今度は延びてるし…」
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