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「…ん?アレク、あそこ、なんか動いてない?」
指差した先の木から、いきなり魔物が飛び出てきて、アレク達に襲い掛かってきた。
「っ!こいつ、熊型の魔物、リベアラーか!?」
アレクはバックステップで攻撃を避け、叫んだ。
『魔神剣!!』
アレクが剣を振り下ろすと、衝撃波のようなものが魔物を襲った。
「グガァァァァオォォア!!」
…が、魔物は衝撃波を喰らってもビクともしなかった。すると後ろから…
「アレク、目閉じて!唸れ、神の雷…ライトニング!!」
言葉を放った瞬間、魔物の頭上から一筋の雷が降り注いだ。
「グ、グヷァァァア…」
「や、やったのか…?」
ゆっくり目を開けると、魔物はマナに分解され、消える寸前だった。
「アレク、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。て言うかお前魔術使えたんだな。」
「ほんのちょっとだけね。でもなんでこんな所に魔物が?もう山から離れてるのに…」
アレク達は裏山と村の間で、少し村に近い所にいたのだが、いつもはこんな所に魔物はいなかった。
「…まさか…魔物の暴走…?村が危ない!!急ぐぞ!」
「えっ?ちょっ!アレク!」
「嘘…だろ…?」
そこにあったのは荒れ果てた、とても人が住んでいたとは思えない、崩れきった村の姿だった。
「…嘘…!?こんなこと…」
「…おかしいと思ってたんだ…最近魔物達がやけにおとなしいかったのはこういうことだったのか…畜生…」
「…こういうこと?」
「…やつら、この村に食料やマナが多く蓄えられてることを知ってたんだ…それを狙って数を増やしてやがったんだ…くそ!もっと早く気付いてたらこんなことにはならずに済んだのに…!」
「アレク…」
「…!!これは…この斧はじいちゃんが木を切って薪を作るのにいつも使ってたやつじゃないか………じいちゃん……うわぁぁぁ!!!」
その日、アレクは今までにないくらいの涙を流した。
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