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ロッカールームを後にし、ふと窓から外を覗いてみる。
――やはり大きい。
駐車場だけで会社がもう一つ建てられそうなほどだ。
ちなみに私達の会社は三階立てで、社員もざっと見ただけでも800人くらいいる大企業。
そして私はこの会社の品質課に所属している。
更衣室は一階だが、品質課は二階にあるのだ。
階段でも行けるのだが、やはり体力的にしんどい。
何でも楽をしたい性分である私は、迷わずエレベーターを利用し二階へと上がった。
そして品質課に到着し、私は自分のデスクに着席する。
するとどうだろう?
待っていたかの如く、隣の席の五木隆志(イツキ タカシ)が私に話しかけてきた。
「あ、あの。霧島さん。こ、これ入れた? 今見たら、お、俺のデスクに入ってたんだけどさ……」
かなりオドオドした口調。
彼が話しかけてくるなんて珍しいな。
五木さんはとはあまり話した事がないから。
――と言うか、五木さんが誰かと喋っている所自体を滅多に見た事がない。
「え? 入れてませんけど……。何が入っていたんですか?」
「……」
五木さんは寝癖混じりの髪をポリポリとかきつつ、引き出しから一通の手紙を取り出した。
「……これ」
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