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人はどうして
人に依存してしまうのだろう
人はどうして
人に憧れるのだろう
人はどうして
人を憎むのだろう
人はどうして
涙を流すのだろう
その答えを探しつづけているけれど
答えなんか一向に見つからず、今でもモヤモヤしたものが胸につまる
何気なく、
そんなことを友達に話すと
考えすぎだよ、なんてうやむやにされて流されてしまった
考えすぎ
人はどうして
考えすぎるのだろう
酔った頭でフラフラになりながらそんなことを考える。
おぼつかない足取りで、玄関の鍵を開けると、
彼女は出迎え、水やらタオルやらを持ってきて
飲みすぎだとか
お酒くさいだとか言っている。
そんな彼女に
また僕は、友達に聞いた質問をした。
今度は
これだから酔っ払いは
なんていわれるのかと思って少し笑った
すると彼女はせっせと僕のぐちゃぐちゃになった髪の毛を指で掻き分けながら、言った。
「そんなの、生きてるからだよ。生きたいからだよ」
そう言った彼女の顔は本当に暖かくて
すごく眩しく見えた。
そうか
僕は生きているのか。
生きたいのか。
ふいに昨日、部長から理不尽に怒られたことを思い出した。
毎日会社に通って、何のために働いているのか、わからずにいた。
友達から「お前んとこはいいよな」なんて何度も言われ、何がいいのか分からなかった。
自分にしたいことや夢はないのかと馬鹿馬鹿しくなった。
いつか叶えると信じていたものは気づいたらなくなっていたことに気がついた。
けれど
今の彼女の一言で
生きたいんだとわかった。
生きているんだとわかった。
わかったときに僕は涙を流していたし、鼻水も出ていた。
けれどそんな僕を彼女は「どうしたの」と言いながら優しく抱きしめてくれた。
僕が生きていきたい理由が
わかった気がした。
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