語る

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5年前の春、 僕は校門に立っていた 見慣れた制服を着て 片手には賞状を入れる筒をもつ 桜吹雪く3月のあたまだった 涼しくも何処か暖かい風を 感じながら僕は 清々しい気持ちで そこに立っていた「 な~にしてんのよっ♪」 肩を軽く叩いてきたその子は 僕が愛していた彼女だ 「今日でここも 終わりかと思うとね」 僕が喋りだすとかったるそうに 彼女は口を挟んでくる 「ねぇ、どっか卒業祝いに どっか行こうよ」 僕の服をひっぱり誘う彼女に 背中を押され一緒に歩く 慣れた手の小ささに 愛おしさを感じる 手を繋いで歩く二人 彼女に言われて あまり慣れないカフェ なんてお洒落なところに入り コーヒーを頼んだ 「将来はどうするの?」 彼女は僕にこう問いた よっぽど退屈だったのか それとも真剣だったのか 「一様医者になりたいからね」 コーヒーを飲みつつ言い 彼女を見ると 笑顔で僕を見詰める彼女 「じゃあ私はお医者さんのお嫁さんになる!」
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