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家に着いた私は、携帯の電源を落とし、ベッドに潜り込んだ。 布団をかぶり、目をつぶる。 何も考えたくない。 何も考えられない。 でも、分かっている。 知っていたのだ、昔から。 思いは届かないと。 いつかすべては過去になると。 すべては、忘れられると。 過去になり、消え行くと。 気づいていた心の穴を、見て見ぬフリをしていた。 だけど、もうそれすらできない。 すべてを過去にして、忘れなくては。 彼女は、もう、旧友。 彼女の中の私も、もう、旧友。 もう一年になる。 卒業して一年。 そろそろ、過去に執着するのはやめようか。 すべてを過去に。 .
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