第1章

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真弓が席に座って安心していると後ろから真弓を呼ぶ声がした。 クラスメイトの鷺ノ宮鈴華-さきのみやれいか-がトゲのある口調とともに、真弓のおでこにデコピンした。 「遅刻したら面白かったのにぃ」 「そ、そんな事言わないでよ!」 お嬢様みたいに笑う鈴華。 事実、鈴華は財閥の娘なのだが。 真弓は、鈴華が苦手だった。 入学式の日から見下した態度の鈴華。 鈴華は真弓を嫌いだった。 名前も顔も平凡な真弓は、アリス学園に相応しくないと思っている。 明るくて活発な真弓。 童顔な真弓の笑顔が苛々するらしい。 真弓とは真逆で、いかにもお嬢様な鈴華の容姿は確かに美しい。 フワッとした長い髪をかきあげる仕草一つにしても美しい。 そんな鈴華も真弓には厳しく当たってしまう。 自分勝手な理由で。 綺麗な女にはトゲがあるとは正にこの事だ。
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