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もう半歩程で私は会社から脱出!って所で現実を取り戻した社長に捕まった。
「何故拒む?」
「離してください。
私は社長の御人形ではありません。」
「そんな事はわかっている。」
「ご理解頂けない様なので申し上げております。離してください。」
自分の持てる精一杯で社長を見据えて告げる。
敬語なのは距離を保つ為。そして私の本気を伝えるため。
「話しは上で聞く。
とりあえず戻れ。」
必死の抗議にも眉一つ動かさずに答えた社長は軽々と私を抱き上げて社内に踵を返した。
俗に言う姫抱きにされた私は恥ずかしくて手足をばたつかせて必死に反論した。
「下ろして下さい!私はお断りしたはずです!」
「暴れると落とすぞ?」
チラッと私を見た社長の目が余りにも冷たかった事と長身の社長の腕の中から大理石の床に落ちた時の痛みを考えた私は大人しく社長のシャツを握りしめて肩口に顔を埋めた。
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