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赤と白。覚えているのはそれだけ。
本当は、もっとたくさんのものを見たはずなのに。きっと思い出すのを拒絶しているだけなんだろう。潰れた座席の中で生き延びるなんてできやしない。
分かってる。でも分かりたくなんかない。
それが単なる逃げでしかないことくらい、知ってるよ。
だからといって、向き合う勇気もない。
そう、あの時二人が座っていたはずのスペースはひしゃげて潰れて。白い手が、柘榴色の水が、
違う違う違う知らない知らない知らない知らない知らない私は何も知らない。
理解したくなかった。
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