雨は優しくて冷たい

18/22

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
「千種」  カミサマが私を呼ぶ。カミサマは今にも消えてしまいそうな笑みを浮かべていた。その様子は、まるで全てを救う神様みたいで。  だから私は縋ってしまったのかもしれない。でも、カミサマのせいにするのはよくない。  だけど、もしこの時、私が選ばなかったら。どうなっていたんだろう。 「もし千種が、辛くて耐えられないなら」  どんなに辛くても、耐えるべきだったと、私は思う。 「千種の荷物を、預かるよ」  でも私は、カミサマに預けてしまった。ただただ、自分が楽になりたいがために。 「どうやって?」  そう言った時にはもう、カミサマに押し付けるつもりだった。私が持っていなくちゃいけないものだったのに。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加