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悲しみは預けても預けても、なくなることは決してなくて。むしろそれ以外の感情が擦り減っていく。
ただ悲しむだけで一歩も進めない。ぐるぐると同じところを周り続ける堂々巡り。まるで底無し沼にはまってずぶずぶと沈んでいくような。
どこへも行けない絶望感が私の心を蝕む。
どこまでもどこまでも落ちて、伸ばした手は何も掴めない。
千種が、カミサマが、そばにいてくれるのに、凍えそうなくらい心が寒くて。
光なんて見えなかった。
違う。目を閉ざしたのは私。
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