涙雨はもう降らない

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 さしあたっては真面目に学校へ通い始めた。  といっても、いきなり教室復帰は無理で、保健室登校から。そして今、雨の続く季節が終わり、蒸し暑い夏になった。夏休み期間に入ってからは本格的な補習を受け始めた。先生たちはみんな親切で、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。  自分のことで精一杯で、自分の世界に閉じこもることしかできなかった私は、なんて幼かったんだろうか。  そうやって真面目に学校へ通う一方、帰り道に時々あの子猫のお墓へ何度か足を運んだ。お墓であることなんて、きっと私にしかわからないだろう。何も知らない人が見れば、何の変哲もない石が転がっているようにしか見えないだろうから。  お墓の前で手を合わせては思う。もし、家で飼っていたら、と。後悔しない日はない。私が馬鹿で臆病だったせいだ。ごめんね。  謝っても、死んでしまった命は戻らないし、自己満足に過ぎないかもしれないけれど。それでも寄り道していくのをやめられなかった。
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