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ある時、あれ以来、足を向けることのなかったカミサマのいた場所へ、意を決して行ってみることにした。
直射日光に照らされたアスファルトの上はひどく暑い。むっとする熱気の中、流れる汗をぬぐいながら私は思い返す。
あのころは暑いも寒いも、そういった感覚がひどく遠かった。私という存在が消えつつあったのか、それともたんに私が現実を拒否していたのか。それはわからないけれど。夢みたいな曖昧な時間だった。
鬱蒼とした木々の間を抜けて行けば、そこには相変わらず朽ちかけた祠があった。
そうして、
誰もいなかった。
知っていた、わかっていた。でも、認めたくなかった。なんて、まったく成長していない。認めたくないことから目を背けたところで、なくなったりはしないのに。
他の人は今までと変わりなく見えるだろう。でも、私はここにいた存在を知っている、覚えている。
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