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いっその事、楽に死んでしまいたかった。
「もう死にたいって?」
けれど、彼女はそれを絶対に許してはくれない。
「嫌。まだ死なせるものですか。貴方の移り変わる表情を見るのが、私の生きる理由ですもの」
私の体は十字架の形をした台に縛られ、身動き一つすることが出来ない。
「貴方がどうだろうと、私はあなたの声、規則無く変わる表情、その全てを見て、聞くまで私は貴方を死なせない」
そして彼女は私の爪を勢いよく剥がした。
走る灼熱。耐え難い痛み。
閉ざされた部屋の中、苦しみの叫びが響き渡る。
激痛に歪む表情。かすれる程に上げられた悲鳴。
それらの全てを彼女は満足そうに愉悦にひたり、笑顔を浮かべていた。
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