京一夜艶恋唄

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僕は彼女の酒の理由を考えながら、醒めた酔いを再度手繰り寄せる様に、家とは反対方向にあるダーツBARへ向かった。 「まいど~」 「マスタ~!!今日こそテキーラ飲ませたるでぇ~!!」 僕はBARにつくなり、下がりきったテンションを上げるべく、マスターにテキーラダーツを吹っ掛けた。 しかし、元々勝った試しがない勝負……。 あっけなく負けた僕は、テキーラを一息に飲み干した。 周りはいつもの常連客……。 いつしか僕は出来上がり、いつもの酔いを取り戻していた。 「ギャハハ~!!ブルが見えや~ん!!」 「そないなった時のともが一番怖いしなぁ~」 「アホ~わしゃ岩鬼とちゃうわ!!いくで~」 だんだんと滲み行く視界の中、もはやダーツ盤も歪み始めた投げ損ないの僕の一投。 大きく軌道をそれ、床に転がったダーツの先には…… 居酒屋で会った女が、一人ポツンとBox席に座っていた。
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