第一章 青空の始まり

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アリスが外に出ると、黒いスーツの男が立っていた。 『これは、美しいお嬢さん。これから私とお食事でもいかがでしょうか?』 『すいません。どこかの馬鹿な執務官との約束があるの』 アリスは男の顔を見て、軽く笑った。 『ほほぅ…その者は私みたいな馬鹿でナイスな執務官なんだろうな』 『その通りですよ。馬鹿でナイスな、イグニス・ベルクート執務官』 男はついに笑いを堪えかね、高らかに笑いだし、アリスもまた、静かに笑った。 『ハハハッ、ハッ、いや、…昇格おめでとう。アリス』 『ありがと。イグニス』 そして、アリスはイグニスをみて、一つ尋ねる。 『イグニスはこれからどうするの?』 イグニスは、ん~…、という唸り声あげる。 『…どうしようか?』 (こ、この…馬鹿は~…) あまりの馬鹿に呆れ、アリスが怒声を上げようと思った。 『この――』 声を張り上げる瞬間、 『嘘だ。行くか、アリス』 『――は?』 イグニスはサイドカーに跨りアリスに手招きする。 『こ、この…―』 『…どうした?』 アリスは肩をフルフルと震えていた。 『馬鹿イグニスーッ!!』 盛大の怒声が響く。
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