158人が本棚に入れています
本棚に追加
アリスが外に出ると、黒いスーツの男が立っていた。
『これは、美しいお嬢さん。これから私とお食事でもいかがでしょうか?』
『すいません。どこかの馬鹿な執務官との約束があるの』
アリスは男の顔を見て、軽く笑った。
『ほほぅ…その者は私みたいな馬鹿でナイスな執務官なんだろうな』
『その通りですよ。馬鹿でナイスな、イグニス・ベルクート執務官』
男はついに笑いを堪えかね、高らかに笑いだし、アリスもまた、静かに笑った。
『ハハハッ、ハッ、いや、…昇格おめでとう。アリス』
『ありがと。イグニス』
そして、アリスはイグニスをみて、一つ尋ねる。
『イグニスはこれからどうするの?』
イグニスは、ん~…、という唸り声あげる。
『…どうしようか?』
(こ、この…馬鹿は~…)
あまりの馬鹿に呆れ、アリスが怒声を上げようと思った。
『この――』
声を張り上げる瞬間、
『嘘だ。行くか、アリス』
『――は?』
イグニスはサイドカーに跨りアリスに手招きする。
『こ、この…―』
『…どうした?』
アリスは肩をフルフルと震えていた。
『馬鹿イグニスーッ!!』
盛大の怒声が響く。
最初のコメントを投稿しよう!