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帰路の途中。踏み切りまで歩いて来たとき、しばらく黙り込んだままだった先輩が口を開いた。
「ねぇ、君さ…」
先輩が喋りだした時、警報機が鳴り遮断機が下り始め、彼女の声がかき消された。
そして、何事もなかったかのように、俺が、
「なに?」
と、尋ねると彼女は、
「聞こえなかったんならぃいの。」
と、はにかんだ笑顔を見せた。
本当は、先輩の言葉は最後まで、俺の耳に届いていた。
『ねぇ、君さ、あたしにそんなに優しくしたら、あたし君に、惚れちゃうかもよ。』
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