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「軒醒めってのは店の軒をでるまでは酔ってるんだけど、軒をでたら醒めてしまうほどしか美味くない酒、軒醒めのほかに『街醒め』『県醒め』があるんだよ。」 「へー。」 微かに香る昔の思い出を思い出すように僕は顔を上に向けた。 「じゃあ、県醒め飲んだことあるの?」 その無為な質問に僕は首を縦に下ろした。 「少し前に親戚のおじさんが来たときに、たしか……『久保田』っつう名前の酒だったかな……。口当たりよくてさ、飲んだんだけど、美味すぎて酔ってることすらわからなくてテンションあがっちゃったよ。」 「じゃあさ、じゃあさ!私にも飲ませて!」 腕を引っ張って言うその仕草は酒が入っているからか、昔の要素をにわかに見せていた。 「『久保田』は高いんだよ。すぐに手にはいるのは……度数高くて甘いの大丈夫か?」
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