涼しい夜

2/2
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
網戸から風が入ってきている。 僕(一彦)はテレビで心霊系の番組を見ている。   『―すると、そこに主人がいたんです。私が"あんた、死んだんじゃなかったの!?"って聞いたら、そのままフッと消えていったんです』   僕は熱中して見てた。 しかし、水をさすように 「一彦~早く寝なさいよ。母さん明日の朝から社員旅行でいないんだからね」 と、母さん(由樹)の声   「ちょ、ちょっと待って。あと少しだから!」 「あんたが起きるころには誰もいないから昼ご飯はちゃんと作るのよ。夜のやつは母さんが作っとくから」   「う、うん。一日ぐらいどうとでもなるよ!」 「すごい自信じゃない。あんたまだ10歳だよ?そんなテレビ見てたら明日寝れなくなるよ」   「わかったよ~・・・もう寝るよ」 と、僕はあきらめて布団を畳の上にしき、眠った。     僕の父さん(勝治)は一年前に突然、ガンで死んだ。  その時も、今みたいな風が部屋の中を流れていた
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!