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「なにもみえないよ…」
深い深い闇の世界に、そんな呟きが吸い込まれた。
『ザアアアアッ』という音がする…。どうやら、雨が降っているみたいだ。
ボクは、雨が苦手だったりする。雨自体が苦手という訳じゃないのだけれど…。雨音は、むしろ好きだと言える。雨とセットになっている『アレ』がボクは、苦手で…。
『ドォォン!』
「はわわ~っ!」
突然の『アレ』の襲撃。大きな音が、振動が、ボクの身体を大きく揺らす。声を少しもらしつつも、なんとか耐える事が出来た。
ふうっと息を吐きつつ、周りを見回す。はっきりとは見えないけれど、ここは、リビングのようだ。ふかふかなソファーがある本来は、癒しの空間であるはずの部屋。その場所が今は、不気味な程の静寂に包まれていた。
ふと、今まで感じていなかった違和感が、ボクの身体を蝕みはじめる。
何故真っ暗なのか?…いつもなら、電灯が十分な光で照らしてくれているはずなのに。
停電しているのだろうか?…なら、なんでお母さんやお父さんは、ここにいないのか?…ブレーカーは、ここにあるから、真っ先にここに来るはずなのに。
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