~プロローグ~

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 そして、このボクの素足を『ベチャベチャッ!』と侵食する生暖かい液体は…いったい『ナン』なのか?  いろんな事に気付くと、気付いてはいけない事にも気付いてしまう…。ボクの場合、それは臭いだった。  「うっ…!」  吐き気を催すような異臭…思わず鼻を押さえる。嗅いだ事のあるニオイだ。でも、そのニオイよりも何倍にも濃度の高いニオイ…。  何のニオイだったか思い出そうとしている時、事態は、それを嘲笑うかのように進行する。  『ゴロゴロ』 という雷鳴、その後すぐに  『ピカッ!』 と雷光が部屋を照らし出す。  「…っ!!」  ボクは、後悔した。いつもなら、雷で目を閉じるのに、今回に限って開いたままだった事を。  そのせいで見てしまう…。両手が不自然な方向に折れ曲がり、両足をもぎ取られて、床に散乱している死体を。左手に腕時計をしている…。お父さんだろうか…。  そして、両腕を肩口からバッサリと切断され、両足を動物の爪のような何かで切り裂かれている死体、ネックレスをしているから、お母さんなのだろう。  身に着けている物でしか判別が出来なかった…。顔が、グチャグチャに潰されているから。
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