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｢……ずっと前にここに連れてこられたのです｣
という返答があります。どうやらこの子もﾜﾀｼ同様に連れてこられ、長い間ここにいたようでした。
｢その間にﾜﾀｼみたいに連れてこられた人はいる?｣
という質問をしてみると女の子は、ぶんぶんと首を横に振るのでした。ふむふむ、ここに連れてこられたのはこの女の子とﾜﾀｼの2人だけみたいですね。
他に連れてこられた人がいないのなら、2人でここから脱出する事を考えないといけないです。大人相手に子供2人…まともに相手をせずにどうにかする方法を考えないと。
ﾜﾀｼは今も抱き締めたままの女の子を見ながら、そんな事を思っていました。
｢おねえさんはどういうお名前なのです?｣
と女の子は唐突にそんな質問をしてきました。その言葉を聞いてﾜﾀｼは、当たり前の行為…初対面の相手である女の子と自己紹介をしていない事に気付くのです。
年上であるはずのﾜﾀｼが先に言い出せなかった事に、少し恥ずかしい気持ちになって顔を紅く染めながら、
｢ﾜﾀｼの名前は『月影優紗(ﾂｷｶｹﾞﾕｳｻ)』っていうんだ。あなたのお名前は?｣
と先に自己紹介をします。
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