18人が本棚に入れています
本棚に追加
異変はすぐに起こりました。まるで夜の墓地のように静かだったこの牢屋に、
「あああああああああああああああっ!!」
という静寂を切り裂く悲鳴が聞こえてきたのです。そっ、その声には聞き覚えがありました。
「ブルーッ!」
可愛らしい声、大人びた声…。さっきまで聞いていたブルーの声です。ブルーの悲鳴は、その後も途切れる事がなく、
「うぎゅっ!あぐぅぅっ!!」
という声と共に『ぐちゅり』、『べちゃり』と聞いていて不快になるような音を、ワタシの耳に届け続けるのでした。
その時、やっと理解します。ブルーはこの事を知っていて、この『音達』をワタシに聞かせない為に忠告してくれていたのだと…。
愚かなワタシは、今その事に気付いたのでした。
「情けないなっ…ワタシ…」
ブルーは自分が今から酷い目に遭うという事が分かっていたのに、気にした様子を見せずに、ワタシを安心させる為に笑顔で『耳を塞いで』と言ってくれていたのです。
自分よりも年下であろう女の子が…。そう思うと自分の不甲斐なさを呪いたい気分になりました。
最初のコメントを投稿しよう!