○月影事件-moonlight-○

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 異変はすぐに起こりました。まるで夜の墓地のように静かだったこの牢屋に、  「あああああああああああああああっ!!」 という静寂を切り裂く悲鳴が聞こえてきたのです。そっ、その声には聞き覚えがありました。  「ブルーッ!」 可愛らしい声、大人びた声…。さっきまで聞いていたブルーの声です。ブルーの悲鳴は、その後も途切れる事がなく、  「うぎゅっ!あぐぅぅっ!!」 という声と共に『ぐちゅり』、『べちゃり』と聞いていて不快になるような音を、ワタシの耳に届け続けるのでした。 その時、やっと理解します。ブルーはこの事を知っていて、この『音達』をワタシに聞かせない為に忠告してくれていたのだと…。 愚かなワタシは、今その事に気付いたのでした。  「情けないなっ…ワタシ…」 ブルーは自分が今から酷い目に遭うという事が分かっていたのに、気にした様子を見せずに、ワタシを安心させる為に笑顔で『耳を塞いで』と言ってくれていたのです。 自分よりも年下であろう女の子が…。そう思うと自分の不甲斐なさを呪いたい気分になりました。
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