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光が消え去り、再び闇に包まれる中、ボクは、今、起きている状況を理解出来ずにいた…。そんな時だった。
『ガタッ!』
と背後から物音。
「へぅっ!」
小さく声をもらしながらも、音のした方を振り向こうとした。
「あぐっ!」
だけど、虚空から伸びる蛇のような手に、首をぎりぎりと絞められ、その行動を止められる事になった。
そのまま、上へと持ち上げられる。足をバタバタさせて抵抗してみても、ただ、空を切るだけだった。
「あぁっ…うぅっ…」
視界がぼやけてくる。抵抗は、満足に出来ない…。ボクは、無力な幼い女の子だから…。この襲撃者には敵わない…。意識が遠退きそうになってきた…。そのとき、
『ピカッ!』
と再び雷光が部屋を照らし出した。その光は、襲撃者を映す。ぼやけた視界には、姿を捉える事は、出来なかった。
『それ』は、ギョロギョロと闇に蠢いている。そして、だんだんとこちらに近づいてくる。眼前まで近付かれた時、やっと『それ』の正体が分かる。
瞳だった…。猫のような鋭い瞳孔をもつ赤い瞳。それが確認出来たと同時に、ボクの限界がやってきた。意識が深い霧のような白に塗り潰されていく…。
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