◇追憶の月影①◇

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 『ガバッ!』音にしたら、そんな感じで飛び起きた。パジャマが汗でぐっしょり濡れていて、肌に張り付く。おまけに、自分の身長の半分ある水色の髪も汗まみれで、凄く不快感がましましな朝。  「はあっ…はあっ…」  首を絞められるという悪夢で目が覚めるのは、久しぶりな気がする。忘れてしまった記憶の断片…幼い頃に本当にあったコト…。  僕、サンドラ・クロイツには、幼い頃の記憶がありません。さっきの夢はたぶん子供の時のもので、失ってしまった過去への手がかりになるはず…。  いずれは、両親の仇である『赤い瞳』を見つけだして、決着をつける事が、僕のひとつの目標になっています。  でも、今はひとまず置いておかないと。重要なのは、あの『悪夢』を見たという事だったりするのです。『悪夢』は、きまって何か悪い事が起きる前に見るので、何かが起きるという事を覚悟しとかないと…。  そんな事を考えつつ、高校に行く準備をしようと布団から起き上がろうとしますが、  「んっ?」  少し寝ぼけていたのかもしれません。今の今まで気づいてませんでしたケド、お腹の所に何かが乗っているような違和感があるのでした。
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