◇追憶の月影①◇

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 そう、未だに僕の上に乗ったままの女の子…『ミレイス・クロイツ』は、お察しの通り、僕の妹なのです。愛称は、『ミーシャ』で太陽のように紅い髪と、ルビーのように紅く澄んだ瞳が、特徴的な女の子です。  そんなミーシャは、困った事にこうやって僕の布団の中に入ってくるのが、日課になっているようで…  今のこの状況は、そのためだったりします。まだ、コアラのように抱き付きモードの妹は、悪戯な笑みを浮かべて、  「お兄ちゃん!ミーシャにどいて欲しかったら、ミーシャのココにんーってしてね」  と自分の額を指差して、自分の唇を突き出すような仕草を(ご丁寧に目まで瞑っている)僕にしてみせるのです。普通の兄妹だったら、こんなシュチュエーションは起きないのかな?  …とにかく、うちの場合はこんなシュチュエーションが、普通の兄妹よりも起こりやすいのです。こういう時のミーシャは、譲る事がないので、一番の対処法を実行するのです。  「わかったよ…仕方ないなぁ…」  そういって、自分の顔を近付けていく。整った顔、幼さを残す顔付き、ぷにゅっと柔らかそうな小さな唇。
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