【第二章】小さな変化

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「まさか変化って・・・これが?」 私が呆然としながら呟くと、 「そう、あなたの中に眠るドラゴンの血が活性化しだしたのよ。このままいくと、完全なドラゴンに・・・」 私はドラゴンになって咆哮(ほうこう)している自分の姿を想像し、思わず身震いした・・・ 「ちょっと待って!それ有り得ないから!ムリムリムリ!」 高速で首と手を横に振りながら否定すると、 「しょうがないわね。これもドラゴンの血を受け継いだ者の宿命・・・諦めなさい」 ママは俯きながら、私に向かって諭す(さとす)ようにそう言った。 ・ ・ ・ 「さようなら、ハイスクールの友達・・・ 私はこれから立派にホワイトドラゴンとして生きて行く! そう! 私の新しい世界は今始まったのだから! めでたしめでたし」 ・ ・ ・ ・ ・ 「いやいやいや、全然【めでたし】じゃないから!ママ、変なナレーション入れないでよ!」 私は気を取り直して、ママに終わらされそうになった話を元に戻した。 「もう、私は人間として生きられなくなるの?」 私が問い掛けると、ママは少し考えて、 「・・・一つ、方法があるわ。それは、ドラゴンの谷に伝わる秘薬を飲む事。それを一粒飲めば完全に人間になれるらしいわ」 そこまで言った後、ママは悲しそうな顔になり、 「その秘薬はドラゴンの谷にしかないの」 と、続けた。 そう、その秘薬とやらを手に入れるには、ドラゴンの谷まで行かなければならないのだ。 ママは何かを決意した表情で私に向かって、 「ママは・・・あなたがドラゴンだって全然構わないのよ。ちゃんと朝昼晩、ご飯をあげて、首輪をしてお散歩にだって連れていってあげるから。何の心配もいらないのよ」 「いやいや、私は構うから!」 私は、首を横に振り慌ててツッコミを入れた。
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