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たった一つの心残りは、エリザにお別れが言えなかった事。
ま、いっか!また旅から帰ったら会えるし。それに・・・今会ったら・・・泣いちゃうかもしれないもん。
そんな事を考えながら歩いていたその時、
「マリカ!」
前方からきた人に声をかけられ顔を上げた。
「エリザ!」
その人物はエリザだった。
「昨日、マリカお休みしたでしょ?今日はどうかなぁと思って迎えに行く所だったのよ」
そう言いながら私の持っている荷物に気づくと、
「どこか出掛けるの?」
どうしよう・・・
「う、うん、ちょっと離れて暮らすパパに会いに行くんだ・・・しばらくハイスクール休むからエリザにも会えないけれど・・・」
少し俯きながら答える。
エリザは一瞬悲しそうな顔になったけれど、すぐに笑顔になり、
「そう・・・でもパパに会えるのなら楽しみね!気をつけて行ってきて」
その言葉に私も涙を堪えながら笑顔で答える。
「うん!」
ハイスクール近くの別れ道までエリザと並んで歩き、そしてそこでエリザの姿が見えなくなるまで手を振り別れた私は、初めての一人旅へと向かった。
そして、この時は、
あんなトラブルに巻き込まれる事になるとは、夢にも思っていなかったのだった・・・
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