【第三章】国境の街ダイゴンド

5/16
前へ
/29ページ
次へ
耳をすますと、宿屋の中から、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。 そ~っと、少し開いていた入口から中を覗いてみると、そこは食堂になっていて旅人や街の住人などで賑わっていた。 しばらく覗いていると、忙しそうにあちらこちらを動き回っている女の人と目が合った。 「いらっしゃい!ちょうど今、席が空く所だよ!」 「いえ、私は」 声を掛けられ、一旦は断りかけたけど、とんでもなくお腹が空いている事に気付き中へと入った。 テーブルに案内されメニューを渡される。 「今日のオススメはバニラ鳥のシチューだよ」 私はメニューで値段を確認して、 「じゃ、それを一つお願いします」 「あいよ!バニラシチュー一丁ね」 本当はデザートも頼みたいけど、節約、節約。 何かあった時の為に貯めてたお小遣いとママがくれた旅費で、少しは余裕があるけど、大切に使わなきゃね。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加