8人が本棚に入れています
本棚に追加
ウキウキしながら料理が運ばれてくるのを待っていると、厨房から、
「あれ?おかしいなぁ~」
と、中年の男の人の大きな声が聞こえてきた。
「あんた、どうしたんだい?」
さっきの女の人が声を掛けた。
すると、頭にバンダナを巻いた大きな身体の、黒い髭を生やした男の人が、厨房の入口からひょいと顔を出し、
「鍋の中のバニラ鳥のシチューが、キレイになくなってるんだよ!」
女の人は驚いた様子で、
「ええ!?無くなるにはまだ早いんじゃないのかい?」
そう言って厨房の中へと入っていった。
しばらくして厨房から出てくると、まっすぐと私の方へと向かってくる。
まさか・・・
私のテーブルの所に来た女の人は、
「お嬢ちゃんゴメンねぇ、シチュー終わっちゃったみたいなのよ~」
と、とてもすまなそうに言った。
そんなぁ・・・
「ちょっと待っててね!何か他の料理を持ってきてあげるからさ」
女の人はそう言って厨房へ戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!