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「ただいまぁ!」
私が急いでいた理由。それは、私マリカ・フルートの十六歳の誕生日だから!
誕生日はいつも、ママがたくさんのご馳走を作ってお祝いしてくれるんだ!
キッチンへ直行すると、テーブルの上には、ケーキの他に数え切れない程のご馳走がのっていた。
どれも私の大好物ばかり。
思わずチキンに手を伸ばそうとすると、
「こらっ、まだ手も洗ってないでしょ!」
・・・ママに叱られた。
私は手を洗った後、大急ぎで自分の部屋へ行き、制服を脱いでワンピースに着替えた。
キッチンに戻ると、ママはもう席に着いていた。私もいつもの向かい側の席に座る。
「いっただきま~す!」
お腹がもうグ~グ~と叫び声をあげていた私は、座ってすぐにチキンにかぶりついた。
すると、私が席に着いたのを確認したママが、心なしか神妙な様子で話し始めた。
「マリカ、十六歳おめでとう。今日はあなたに話さなければならない事があるの」
「ふぁひ?」
口の中いっぱいにチキンを頬張ったまま返事をすると、ママが衝撃の一言を口にした。
「あなたのパパはね・・・ホワイトドラゴンなの」
「うぐぅっ!!」
思いがけない言葉に、喉にチキンを詰まらせてしまい、慌ててミルクで流し込む。
「ホ、ホワイトドラゴンって、前に読んだ物語に出てきた伝説の生き物じゃない?現実にいるわけないじゃん!」
でも、ママの顔は真剣そのものだった。
「あなたが信じられないのも無理は無いわ。最初はママも信じられなかったもの」
そしてママは、パパとの出会いを語り始めのだった。
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