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「ママは、あなたの十六歳の誕生日にこの事を話そうって決めていたのよ。なぜなら、パパの血を引くあなたには、多分もうすぐ変化が訪れるだろうから」
変化!?
「もし、パパに会いたかったら・・・会いに行ってもいいのよ。パパの血を引くあなたなら聖なる地も受け入れてくれるでしょう。あなたの人生だもの、好きに生きなさい」
パパに会う?そんな・・・ママを一人置いて行くなんて出来ないよ!
「・・・私、どこへも行かないよ。ママと一緒にいるから・・・ずっと」
そう言うと、ママは心なしかホッとしたような笑顔を見せた。
その後、複雑な気持ちを抱えながらもテーブルの上のご馳走をすべて平らげた私は、ママからのプレゼントを持って、部屋へと向かった。
部屋へ入った私はベッドの上に座り、早速プレゼントのリボンを解くと、包装紙を破かないように気をつけながら剥がして開けた。
可愛い、薄ピンクのコートだ!
一年中真冬のこの国では防寒具は必需品。今まで着ていたコートは、少しサイズが合わなくなっていたから、結構前にママにお願いしたんだけど。覚えていてくれたんだ・・・
ママの気持ちが嬉しくて、思わずコートを胸にギュッと抱きしめた。
コートをクローゼットにかけた後、パジャマに着替えて、ベッドに寝転び考える。
ママにはああ言ったものの、・・・やっぱりパパに会いたい気持ちもあるんだよね。
そんな事を考えながら私は、いつしか深い眠りに落ちていった。
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