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「何を落ち込んでいるんです。大喰らいな事はもうよく知っていますし、体調が優れない事くらい、誰にだってあるでしょう。そんな顔していたら、せっかく楽しかった時間まで台無しじゃないですか」
清吾さんは私を抱き寄せて、まるで子供を宥めるみたいに軽く頭を叩く。
途端に目頭が熱くなって、清吾さんの腰に腕を回し、力一杯しがみついた。
「……本当に、どうかしましたか?」
いつになく弱気で、甘える私に、清吾さんは体調以上に心配した様子で、深刻そうに尋ねてくる。
「どうもしない。ちょっとくっつきたかっただけ」
失礼しちゃう、とふて腐れながら更に腕に力を込めて言う。
「……誘ってます?」
「馬鹿」
見上げてそう睨めば、清吾さんはふっと笑って、額にキスを落とした。
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