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時間は授業中。
場所は保健室。
隣は職員室。
目の前には妖艶な誘う女。
オレは蜘蛛に絡め取られた男。
彼女は一体……何なんだろう。
なぜこんなにも男を欲する?
魅力全開で誘惑して……
そうか……
簡単な事だ。
単なる……男好き……か。
他に考えられねぇよな。
その時突然、ガラッと保健室の扉が開いた。
ベッドの中で彼女と目を合わす。彼女の大きな瞳は、更に大きく見開かれていた。
誰かが…入ってくる!?
マズイ!!
……よな?
「!!」
オレが呆けてる一瞬の間に、愛ちゃんはオレをベッドのしたに押し込んで、彼女もすっぽり布団を被った。
「………………」
オレは息を殺した。
───…足音を感じる。
気配が近付いてくるのが分かった。
と、思うと間もなくカーテンが開いた。
マヌケなカッコのまま、オレはさらに息を殺した。
ここからは足だけしか見えない。
生徒……だ。
男か……………?
!?
────大地だ!!!
なんだ?
何で大地が……?
───そうか……
愛ちゃんを心配して
戻ってきたのか!?
へっ!
残念だったな!
愛ちゃんはオレと──…
ん?
なんで……
大地が心配なんかするんだよ。
なんで
授業中なのに……
─────コイツも?
コイツも愛ちゃん…………と!?
『小泉大地ってどんな感じ?』
『興味あるから♪』
また………
モヤモヤした思いが…
込み上げてくる。
大地はしばらくベッドサイドに立っていて、突然出ていった。
愛ちゃんの様子がほんの少しだけ変わってることに、オレは気付かなかった。
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